キーキャップを自作するには?レジン・3Dプリントの作り方と選び方

キーキャップを自作するには?レジン・3Dプリントの作り方と選び方

キーキャップは、シリコン型にレジンを流して作る方法と、3Dデータからプリントする方法で自作できます。イラストや文字を入れたいだけなら、透明カバー付きのキーキャップに紙を挟む方法も選べます。

まずは「中に飾りを入れたい」「形を変えたい」「表示を変えたい」のどれが目的かを決めると、必要な道具が整理しやすくなります。

ただし、作ったものがどのキーボードにも付くわけではありません。対応するスイッチの軸、交換したいキーの形、成形後の接合部までが大切です。私なら、最初に交換したいキーを一つ決めてから作り方を選びます。この記事では、メーカーのキット説明書と制作例をもとに、準備から仕上がりの判断まで順番に見ていきます。

この記事のポイント
  • 目的で選ぶ三つの自作方法
  • 対応軸・配列・キー位置の適合条件
  • レジン成形の手順とメーカーの注意事項
  • 3Dプリント外注と失敗の見分け方
目次

キーキャップを自作する方法と準備の選び方

レジン・3Dプリント・紙を挟む方法を比較

レジン・3Dプリント・紙を挟む方法を比較

透明なキーの中にラメや小さな飾りを入れたいなら、レジン成形が候補です。XYZAのシリコン型キットでは、ラメやフィギュア、印刷した紙などを封入する作り方が紹介されています。一方、外形を編集したり、3Dモデルに画像を貼ったりしたい場合は3Dプリントが候補になります。

方法作れるもの・変えられる部分主な準備選ぶときの分かれ目
レジン成形型の形を使い、色や封入物をアレンジ対応する型、レジン、成形・仕上げ道具。UV系は対応ライト型への充填と硬化、接合部の調整に取り組みたい
3Dプリント3Dデータの形状や、対応方式での色・画像3Dデータ、必要に応じてCAD、プリンターまたは出力サービス形をデータで作りたい、出力を外注したい
紙を挟む方式キーに見えるイラスト・記号・文字二重構造のキーキャップ、印刷した図案本体の造形より、表示のカスタマイズが目的

初心者だから必ずレジン、という選び方をする必要はありません。紙を挟む方式なら、型への流し込みや3Dデータの編集をせずに図案を反映できます。形そのものを作る楽しさが欲しいならレジンや3Dプリントへ進む、という順番でもよいと思います。完成させたい見た目から選ぶほうが、道具を買う目的もはっきりします。

対応軸だけでなく配列・キー位置・形状を合わせる

最初の条件は、キーキャップとスイッチをつなぐ軸の規格です。XYZAのレジン用キットはCherry MXとその互換品に対応しています。ただし、説明書にはシリコン型のため微調整が必要な場合があるとも記載されています。「MX対応」は選ぶ入口であり、自作品が調整なしで必ずはまる保証ではありません。

次に、配列と交換するキーの位置を合わせます。例えばPFUが公開するHHKB Studioの3Dデータは、英語配列と日本語配列に分かれ、さらに列の基本形状やEnter、Shift、スペースなどの種類別データがあります。同じキーボード用でも、どの位置のキーを作るかによって使うデータが変わるわけです。

見た目が似ているという理由だけで別のキーのデータを流用せず、目的の配列・列・キー名で選びましょう。

HHKB Studioの公開3Dデータで作ったキートップは、HHKB Professionalシリーズには使用できません。同じHHKBという名前でも対応をまとめて考えないことが大切です。

型やデータを探す前に、キーボードの機種名、配列、交換したいキー名をメモしておくと比較しやすくなります。レジン用の型では外側の形だけでなく、裏側の接合部分も必要です。XYZAのキットが本体側とスイッチ接合側の二つのパーツで構成されるのも、キーの表面と取り付け部分を一緒に成形するためです。

レジン用の材料・道具と費用を整理する

レジン用の材料・道具と費用を整理する

レジン成形の具体例として使えるのが、XYZAの「TinyKeycapKit XA-TKC01」です。Cherry MXと互換スイッチ向けのシリコン型キットで、レジンは含まれていません。メーカー発表の想定価格は2,580円ですが、これはキットの価格であり、制作に必要な一式の総額ではありません。

購入時の販売価格とも分けて考えましょう。

  • 作りたいキーに合うシリコン型とレジン
  • UV・UV-LED系のレジンを使う場合は、その製品に対応する硬化用ライト
  • 接合部の細い溝へレジンを入れる爪楊枝や小さなスティック
  • バリ取りや形の調整に使うカッター、ニッパー、ヤスリなど
  • 好みに応じたラメや封入用の飾り
  • 使用するレジンの注意事項に沿った手袋、作業面を覆うシートなど

予算は「型」「レジンと硬化に必要なもの」「仕上げ道具」「装飾材料」に分けると見通しが立ちます。すでにレジンクラフトの道具を持っている人と、ライトから揃える人では、追加購入するものが違うためです。レジンだけを安く買えても制作全体が同じ金額で済むわけではありません。

まず必要なものと手持ち品を照らし合わせてから、飾りを追加するのがおすすめです。

文字やイラストが目的なら紙を挟む方式も選べる

XYZAの「自作キーキャップキットGray」(XA-CCGR)は、二重構造ではめ込む方式の製品です。Cherry MXおよび互換品向けで、レジンを流して本体を作るキットとは用途が異なります。好みのイラストや機能表示を入れたい人には、この方式が取り組みやすい候補です。

同製品には、PSD・JPEG形式のテンプレートが無償提供されています。テンプレートを使って図案を用意すれば、表示面のデザインから始められます。キーキャップのサイズを一から測って図案を設計する負担を減らしたい人にも向いています。

無料なのはテンプレートなどのコンテンツで、キーキャップ本体が無料になるわけではありません。

なお、文字やアイコンを入れることと、キーを押したときの動作を変えることは別です。XYZAのカスタムキーキャップ案内でも、紙による物理的な表示と、Tinykeyboardシリーズ向けのキーマップ変更アプリは別に説明されています。

好きな表示を作るときは、実際に割り当てている機能に合わせると用途が明確になります。

キーキャップを自作する手順と失敗への対処

レジンは本体と接合部に充填して中心を合わせる

ここではTinyKeycapKitの説明書に沿った基本手順を紹介します。最初に使う型の組み合わせを選び、蓋パーツにある成形時のバリを取り除きます。メーカーによると、この下準備で空気や余分なレジンが逃げやすくなります。別の型を使う場合は構造が同じとは限らないため、その型の説明書を基準にしてください。

  1. 本体側の型にレジンを8〜9割ほど入れます。飾りを入れる場合は、先に2〜3割ほど入れ、飾りを配置してから追加します。
  2. 蓋側のクロスマウント、つまりスイッチとつながる十字部分にもレジンを入れます。細い溝には爪楊枝などを使い、気泡が残らないようにします。
  3. 蓋側を重ね、キーキャップの中心を合わせます。
  4. 使用するレジンが指定する方法・条件で硬化させます。
  5. 完全硬化を経て、UV・UV-LED系では照射後の熱が冷めてから型から取り出し、余分なバリを整えます。

この工程で見落としたくないのが中心合わせです。XYZAは、中心がずれるとスイッチに付けた際の角度や位置のバランスが崩れると説明しています。表から見える飾りだけでなく、裏側の接合部がどこにできるかにも注意を向けましょう。見た目の配置と取り付け位置を両方考えるのが、キーキャップならではの作業です。

スペースバーなど容量が多い形について、同説明書では一度に作ると型が歪む場合があるとし、3割程度ずつ硬化させて追加する方法を案内しています。小さなフィギュアも、一度で封入すると浮いたり沈んだりする場合があり、複数回に分けて硬化する工夫が紹介されています。

大きいキーや複雑な封入は、単純な形より工程を分けて考える必要があります。

硬化条件と作業中の注意はレジンメーカーを基準にする

硬化条件と作業中の注意はレジンメーカーを基準にする

硬化時間は、レジンなら何でも同じではありません。パジコはUV-LEDレジンについて、各製品のパッケージにある時間・方法で完全硬化させるよう案内しています。型の説明書に大まかな時間があっても、使う液の指定条件を省略しないことが大切です。

また、同社のレジンには柔らかく仕上がるものやコーティング専用品もあり、名称だけで同じ用途に使えるとは判断できません。

パジコ製UV-LEDレジンの注意事項では、作業中と硬化中の換気、液を皮膚や目に付けないこと、ライトの光を直接見ないことが示されています。手袋は破損を確かめ、液が付いたまま使い続けないようにします。硬化中は高温になるため触らず、照射後も冷めるまで待ってから扱います。

別メーカーの液を使う場合も、その製品の表示に沿って作業環境を整えましょう。

仕上げで削る工程にも注意が必要です。パジコは、研磨では粉塵が出るため、その粒子に合った防塵マスクを使い、吸い込まないよう案内しています。液体を扱う工程と削る工程では注意する対象が違います。作業中に体に異常が生じた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診断を受けるというメーカーの指示に従ってください。

封入物も、見た目だけで選ばないようにします。パジコは水分や油分のあるもの、少しの高温で溶けるものを封入不可とし、生花は乾燥させてから入れるよう案内しています。小さな世界を作れるのがレジンの楽しさですが、飾りの材料と硬化時の条件を組み合わせて考えることが必要です。

3Dプリントは対応データを選び、外注なら見積もりへ進む

HHKB Studioの場合は、PFU公式のキートップ3Dデータを利用できます。配列に合うデータを選び、一部のキーだけなら「種類別」を使うと不要なキーを削除する編集を省けます。形を変える場合は3D CADで編集し、プリンターが扱える形式で出力します。

ダウンロードには使用許諾条件への同意や情報入力の手順があり、公開データも条件に沿って使います。

自分のプリンターで作る場合の流れは、データ準備、素材の選択、機種に応じた出力準備、スライスソフトでの設定、造形です。PFUの制作例ではABS素材を使っていますが、同じ設定を全機種へ当てはめることはできません。

対応ファイル形式もプリンターによって異なるため、使う機材に合わせてデータを渡す必要があります。

プリンターを持っていない場合は、DMM.make 3Dプリントの個人向けサービスが候補です。Web注文ではDMM無料会員登録と3Dプリント利用登録を行い、データをアップロードします。モデルチェックを経て素材と見積もりを確認し、注文・決済へ進む流れです。登録と、造形を注文する行為は別の段階になります。

入稿では寸法単位にも気を配りましょう。DMM.makeの作成ルールはミリメートルを指定し、実際に出力したい寸法になっているかの確認を求めています。フルカラーはカラー情報を持つデータ、またはモデルと関連付けた画像などをZIPにまとめる方式です。

画像を貼ったキーを作るなら、形状データだけを渡せばよいとは限りません。

費用は自分のデータと素材で見積もるのが基本です。簡易見積もりページもありますが、表示額は参考価格で、正式見積もり・発注には別途会員登録が必要です。正式見積もり時の再確認で修正が必要になる場合もあります。

発送目安も素材やパーツ数、稼働状況で変わるため、過去の制作例にある金額や納期を、そのまま今回の予算・予定には使わないようにしましょう。

気泡・硬化不良・はまらない問題を分けて考える

気泡・硬化不良・はまらない問題を分けて考える

レジンで接合部が欠けた場合は、まず気泡や充填不足を考えます。TinyKeycapKitの説明書では、不足した部分の型にレジンを入れ、再び型を合わせて硬化させる補修方法が紹介されています。ただし、これは同キットの成形不良への案内です。

どの破損でも直せるという意味ではなく、液の硬化条件を守る必要も変わりません。

固まり方がおかしい場合は、色の濃さや光の届き方も判断材料になります。パジコは着色剤が濃すぎるとUV-LEDレジンが硬化しないこと、不透明な型では均一に照射できず硬化不良になる場合があることを説明しています。「長く照らせば必ず解決」と決めつけず、使った液、着色量、型の条件を見直しましょう。

形はできているのにはまらない場合、TinyKeycapKitではマウントの成形誤差が生じる可能性があり、説明書は棒ヤスリなどによる微調整を案内しています。外観を整える作業と接合部の調整は分けて考え、研磨する場合は使用レジンの粉塵対策も守ります。

対応規格を選んだ後にも、完成品の調整が残る場合があるということです。

3Dプリントでも、見た目の完成と取り付けの成功は別です。PFUの2024年7月時点の制作例では、クリアレジンで作ったShiftキーがうまくセットできず、裏側の造形に素材が向いていなかった可能性が述べられています。また、ステンレス製スペースキーは重く、押した後に戻ってこなかったと報告されています。

いずれもその制作条件での結果であり、素材全体の可否を決めるものではありません。

こうした例を踏まえると、最初は作りたいキーを絞り、形状・素材・取り付けの結果を確かめてから範囲を広げる進め方が考えられます。私は、机の雰囲気に合う見た目と同じくらい、普段使うキーとして成立するかを大切にしたいです。自作の自由度は楽しみつつ、仕上がりを一つずつ確かめていきましょう。

キーキャップ自作のまとめ

この記事のまとめです。

  • 封入や色を楽しむならレジン、形の編集なら3Dプリント、表示の変更なら紙を挟む方式が候補
  • Cherry MX対応の型でも、自作品には接合部の微調整が必要になる場合がある
  • 3Dデータは配列・列・キー名で選び、HHKB Studio用データをProfessionalシリーズには使わない
  • TinyKeycapKit XA-TKC01にはレジンが付属せず、道具や硬化用ライトを含めて予算を考える
  • 紙を挟む方式の表示変更と、キー入力の機能変更は別の作業
  • レジンは本体と接合部へ充填し、中心を合わせて指定条件で硬化させる
  • レジンの作業・硬化中は換気し、光や硬化熱、研磨時の粉塵にもメーカー指定の注意を守る
  • 3Dプリンターがなくても外注でき、データと素材に応じた見積もりで費用を判断する
  • 気泡による欠け、硬化不良、接合部の誤差を分けて対処する
  • 3Dプリントも外観だけで判断せず、取り付けやキーの戻りを含めて仕上がりを確かめる
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この記事を書いた人

はじめまして、パソコです。
デスクワーク歴20年、肩こり・腰痛に悩んでデスク環境を整え始めて10年、今ではデスク周りすべてが趣味になっている40代の在宅ワーカーです。
「自分にぴったりの一台・一脚」に出会えるお手伝いができれば嬉しいです。

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